今月の言葉は

 「八風吹不動 天辺月(八風吹けども 動ぜず 天辺の月)」
                禅語より
 です。
 
12月になりました。
さて、今月は禅語からです。
直訳すると「人生に吹く八つの風にも天の月のように動ぜず」となります。

八つの風とは
 利(り)…自己の利欲にとらわれ、自分だけはと願う心。
 誉(よ)…名聞名誉に執われ、誉められたいと願う心。
 称(しょう)…人々から称賛されたいと願う心。
 楽(らく)…享楽にふけり、楽をしたいと願う心。
 これらを「四順(しじゅん)」といい、こういう風が吹いて欲しいと願ってしまうことです。
次に、
 衰(すい)…気力、活力の衰え、人生の衰えた姿。
 毀(き)…他の人から批判され、けなされる姿。
 譏(き)…他の人から、そしられる姿。
 苦(く)…人生の苦難、苦境にさらされる姿。
 これらを「四違(しい)」といい、こういう風が吹かないでくれと願ってしまうことです。

これらの風が吹いても、天の月のように動じない心を持つことが大切です。

しかしながら、人は誰しも感情を持ち、何かの出来事があった時に、
心が揺れ動かないことはありません。
ここでいう「不動」とは、その自分の感情を受け入れながら
また元の心持ちに戻ることを言います。
今、レジリエンス(回復力・しなやかさ)という言葉がよく使われますが、
まさにそれですね。まるで竹や暖簾(のれん)のように、風がやめば
また元の位置にもどる。そんな柔軟性を不動と呼んでいます。

人生には順風や逆風が必ず吹きます。
その時に、あまり浮かれず、怒らず、天のお月の様に
元の心に戻れるようにしたいですね。