今月の言葉は

 「この花散らすも 雨と風
  花咲かすも 雨と風
  雨と風がないならば 
  花も咲かぬば 散りもせじ。」
                      
です。

5月になりました。
暖かい気候になり、お出かけしたい季節になりましたね。

春には桜をはじめ、たくさんの花が咲きます。
あたりが明るくなり、心も浮き立つ季節です。
けれどもその花たちも、雨や風に揺られ、
やがては散ってゆきます。
せっかく咲いた花が、すぐに散ってしまうのは、
なんだかもったいなく感じることもあります。

しかしよく考えてみると、
花は雨や風があるからこそ芽を出し、
つぼみをふくらませ、きれいに咲いてくれるのです。
咲くことも、散ることも、どちらも自然のはたらきの中にあるもの。
どちらかだけでは、花は成り立ちません。

人の人生や出会いも、これとよく似ています。
うれしいこと、悲しいこと、はじまりや終わり。
どれか一つが欠けても、今の私たちは存在しません。

仏教では、このような移りゆく姿を「無常(むじょう)」といいます。
すべてのものは変わってゆく。
だからこそ、今この時を大切にしよう、
今目の前にあるご縁をありがたく受けとろう、と教えてくれるのです。

花が雨風にまかせて咲き、そして散っていくように、
私たちもさまざまな出来事を受けとめながら、日々を生きています。
つらいことも、さびしいことも、やがては心の糧(かて)になり、
また誰かとの新しい出会いや、気づきへとつながっていくことでしょう。

どうか、今あるご縁をたいせつに。
今日という日を、穏やかな心で過ごしたいですね。